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総合人文学コース

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総合人文学コース   文化人類学・宗教学・日本思想史専門

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文化人類学・宗教学・日本思想史専門は、名古屋大学文学部の大学院重点化にともない平成12年度に設置された大学院専担の比較人文学講座を基盤とし、現役の大学・高校教員、NGO経験者など、多様な経歴の学生を積極的に受け入れている。その理念は、個別研究に分化特殊化しがちな人文系諸学問の学際性を高め、従来の専門の枠にあてはまらない独創的な先端研究を人文学の分野で推進し開発するところにある。しかし、自由で先端的な研究にも基礎が必要であり、そのためにフィールドワーク、実地調査、現場での研究による一次資料の収集・分析を方法として重要視している。教義や思想をそれだけとりだしてただ抽象的に研究するのではなく、労働し、戦い、踊り、歌い、祈り、そして思惟する、そういう現実的な人間の全体像の具体的な理解を踏まえた研究をめざしているのである。思想史研究においては文献研究が不可欠であるが、その場合も、寺院の書庫に埋もれた古文献を発掘し、埃にまみれながら調査解読する作業を重視している。本専門のスローガンは「常識への挑戦」であり、自由な発想で諸学問を横断するような研究をめざすとともに、旧来の知の枠組みの再検討を行っている。世界各地でのフィールドワークに基づく研究を奨励しているのもそのためであるが、その際の共通の出発点として、日本文化の研究も重視しており、修士課程に入学してきた学生は、まず日本の村落や都市で人類学的フィールドワークの基礎実践を積むことになる。こうした研究を複合化させていくべく、アジア・アフリカ各国からの留学生と研究者を受け入れ、日本研究と世界各地の研究を相対化し、クロスオーバーさせて研究を深化させていこうと考えている。

修士論文

スペイン、セビーリャ地方における環境保護運動に関する研究 /日中における施食の思想と儀礼の展開 /観光資源化される民俗芸能の伝承に関する研究―沖縄市諸見里青年会の「エイサー」の事例から― /花祭りの伝承母体における青壮年集団の役割についての研究 /パプアニューギニア、セピック地方ニャウラ社会における仮面に関する人類学的研究 /東アジアにおける犬食文化 /信州伊那地方における農業集落の歴史的変化に関する研究―住民の価値観に注目して― /日本の稲作起源神話と御田植祭―伊勢神宮の別宮伊雑宮の御田植祭を 中心に― /能楽「翁」発生時における宗教的役割―尾張大国霊神社儺追神事からの考察― /野生動物を殺すことになった人々―愛知県北設楽郡豊根村における獣 害問題の事例から― /立山信仰のなかのウバ尊―女性の信仰に与えられる役割― など

博士論文

丸山眞男の哲学 /ブルキナファソ、ビサ社会におけるジェンダーと開発―村落部における女性の生活誌と開発人類学的分析― /日本中世寺院における仏教史書の研究―真福寺大須文庫所蔵資料を中心として― /「学校から職業への移行」と専門学校―商業実務系専門学校のエスノグラフィーから― /忌避関係から「差別」へ―エチオピア南西部、カファ社会におけるカファとマンジョの関係史から― /伊豆半島・須崎海村の海洋人類学―多様な海洋資源と漁労活動― など

講義題目

日本精神史 /宗教テクスト学講義 / 儀礼とテクスト・フィールドワーク演習/  太子伝研究―太子絵伝絵解き実習 / 宗教テクスト学実習―大須文庫調査研究 /  人類学の理論と方法 /  人類学と地域研究 /  現代人類学演習 /  現代文化人類学の課題―人類文明史の再構築 /  現代宗教人類学の課題―人類文明史と宗教 /文化人類学演習/  宗教人類学演習 / 人類学の記述と解釈 / 民族誌論 / 奥三河の民俗芸能調査研究 / など

阿部泰郎 教授

 日本中世の宗教文化を文芸の側から文献学的な方法によって研究している。文学・歴史・美術・宗教思想など、既成の学問諸分野にまたがって、とくに中世の説話・物語、寺社縁起・霊験記、能狂言・歌謡などについて研究すると同時に、それらの基盤となる学問注釈・談義唱導・儀礼故実などを形成伝承する寺社の文献資料(聖教文書)を対象に調査と分析を行っている。目下、名古屋大須の真福寺や京都の仁和寺・観修寺などの調査と共同研究に携わり、中世寺院がつくりだした知的体系の復原を試みると共に、中世日本の世界像の探求を志している。
 比較人文学という、研究科内外の学際的連繋の要となる位置を生かして、先端的研究の高度化を推進する。同時に、その活動を大学院教育と連動させて、院生を各自の問題・関心に応じて調査・研究に参加させることで、文献学の基本を会得しつつ、その経験を生かして、論文作成を目指すよう指導する。

嶋田義仁 教授

 西洋宗教哲学が研究の出発点。しかしこれを相対化するなかでの理解をもとめて日本神話や民俗学、アフリカ民族学と越境し、今また時々西洋宗教哲学に舞い戻っている。研究の柱は以下の三本。(1)アフリカを中心とする乾燥地文化(イスラーム、都市国家形成、牧畜、交易)、(2)日本神話、稲作文化研究、(3)人類学、宗教学をふくめた西洋思想の基本構造学生には深く沈潜することと彷徨うことの二つを求める。

佐々木重洋 准教授

 専門は、文化人類学、アフリカ民族学、民族芸術学。西アフリカおよび日本をフィールドに、「民族芸術」と総称される文化事象、とくに仮面および仮面結社、仮面儀礼・パフォーマンス、それらの背景となる世界観等について、文化人類学の視点から調査・研究している。個別の事例に関する民族誌的記述を重視するが、いずれは「人間にとって仮面とは何か」という普遍的問題にもアプローチしたいと考えている。また、人類学による芸術研究の可能性についても再考していきたい。
 世界の諸民族とその文化を比較研究する文化人類学においても、その研究手法上の基本は、野外調査により徹底的に現場の視点に立ち、当該文化や社会を「内側から」理解しようと努める点にある。そこで私は、文献解説だけでなく、日本国内におこなう野外調査実習を重視している。古典的なフィールドワークと民族誌の良質の部分を継承しつつ、現代社会の諸問題に実践的に対応できるような人材の育成を目標としている。

東賢太朗 准教授

 文化人類学を専門とし、フィリピンを中心とした東南アジア地域におけるフィールドワークを行っている。これまで集中的に進めてきたのは、呪術や宗教といった超越的なものに関する思考や実践から、「他なるもの」についての想像力が現代社会においてもたらしうる可能性と希望を見出すプロジェクトである。その他、現在関心を抱いているテーマとして、観光における「遊び」と「幸せ」、新自由主義的な社会・経済における労働と教育のリスク、在日フィリピン人を対象とした異文化表象、などがある。具体的な個別事例の蓄積の上に確かに立脚しつつも、そこからつねに一般的な理論や思想を眺望する学術的構えを大切にしたい。
 学生には、「異文化」や「他者」について調べ描く方法としてのフィールドワーク実践の徹底と、自文化の常識や先入観をつねに疑い突き崩していくひらかれた態度を望む。自由に意見を交換し、刺激しあう知的環境の中で、新たなる何かをともに創造できればと願う。