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概要

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東洋史学専門

合宿での研究発表

雲南省・大理古城の南門

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 研究室は、宇都宮清吉によって中国史を中心に設立され、波多野善大、谷川道雄、森正夫、江村治樹と引き継がれ日本における中国史研究の一大拠点をなしてきたが、現在は東南アジア史研究の拠点としての意味も増している。

 現スタッフの井上は中国明清時代の学術史を連続的に、すなわち陽明学から考証学への変遷を一貫した論理で内在的に把握しようと試みている。加藤は東南アジア、特に大陸部北部一帯の歴史を研究対象とし、中でも現在の中国雲南省南部国境地帯に存在していた、シプソンパンナーというタイ族の政治統合を中心に研究を進めている。林はおもに中国雲南省にかつて形成された南詔・大理国、および現在同地方に居住する白族(ペー族)の歴史を中心に研究を進めている。

 研究室では、宇都宮以来の学風が受け継がれている。その第一は自由を重んじる点である。このため院生自身の主体性の確立が求められている。第二は人間中心の歴史学を目指す点である。このような学風は、あくまで史料の精密な読解を基礎に成り立っており、授業においては史料の解読に多くの時間が割かれている。院生の指導に関しては、前期課程では修士論文の作成に最も重点が置かれ、個別指導のほか、院生主体の自主的研究会も大きな役割を果している。後期課程では博士論文の完成が求められ、その前提として研究成果を学会誌に公表することが一つの目標となる。研究室では院生が主体となって『名古屋大学東洋史研究報告』を1972年以来毎年発行しつづけている。また、他の学会誌への投稿も奨励している。海外留学も積極的に奨励しており、中国を始めとしてタイ、インド、さらにイギリス留学の実績がある。

修士論文

儒学の受容について / 九一八事変期における抵抗の論理 / 劉邦の「皇帝」号とその支配体制の成立 / 西晋武帝政権論 / 『漢書』天文志に見る「星占」の成立過程 / 崇禎、弘光朝の政局 / 唐代長安における寺院の役割について / 秦の天下統一の背景について / 後漢末・魏晋における士大夫の地域性と地方統治機構 / 天監の改革に表れた南朝賢才主義とその行方 / シンガポールにおける華人青年知識人とイギリス植民地体制 / 雍正期の雲南における改土帰流について / 中国における近代的軍隊像の形成過程 など

博士論文

近代中国における政治運動の成立 / 秦統一原因再探討 / 漢代郡県統治体制の地域的研究 / 元明期における旌表の研究 / 清末の学校教育と国民統合 / 南京国民政府期における信用システムの研究 / タイにおける文化政策の展開 / 宋代中国の国家と小都市 / 漢代郡県属吏制度の研究 / 中国ソビエト革命史研究 など

講義題目

清代档案演習  / 明代選挙制度研究 / タイ史演習 / 東南アジア史演習 / 中国西南民族史 / 中国民族史講義 / 南アジア中世史研究の諸問題 / フィールドワーク入門 / 参加型開発と社会文化変容 / 華夷思想の成立 / 戦国秦漢社会論 / アジア史研究方法論演習 など

井上 進 教授

中国明清時代の学術史を連続的に、すなわち陽明学から考証学への変遷を一貫した論理で、内在的に把握しようと試みている。近年はこうした学術史の研究から派生した課題として、出版文化史の研究にも取り組んでおり、出版文化史を通じて学術の変遷を探ろうとしている。学生諸君の指導にあたっては、中国の文献史料を正確、精密に読み解く能力の向上につき、特に意を用いている。また近年の傾向として、問題関心が早くから狭く固定化しがちなように思われるのであるが、これに対しては中国の文物制度につき、できるだけ関心を広げ、幅広い知識を涵養することを目指している。

加藤久美子 教授

東南アジア大陸部北部一帯(中国雲南省南部、タイ国北部、ラオス北部、ミャンマーのシャン州、ベトナム西北部)の歴史を研究している。特に、その地域のタイ族が前近代に形成していた国家がどのような性格をもったものであったかに関心がある。それを東南アジア前近代国家のひとつの形ととらえ、これまで検討を続けてきた。中でも、現在の中国雲南省西双版納傣族自治州にあった、シプソンパンナーというタイ族の政治統合を中心に研究を進めている。大学院生の指導にあたっては、歴史学的研究方法や必要語学をしっかりと身につけた上で、個々の問題関心をより広いアジア史の枠組みの中に位置づけて研究を進められるよう、心がけている。現地での史・資料収集や外国の研究者との交流も積極的に援助していきたい。

林 謙一郎 准教授

西南中国少数民族の歴史的研究を、おもに中国雲南省、大理地方に居住する白族(ペー族)の歴史を中心に進めている。主要なテーマは、南詔・大理国の形成過程と政権構造、および周辺諸国との関係史、大理国から元明時代にかけての民族形成・民族関係史。1992年から95年にかけて、雲南民族史研究の開祖の一人である故方国瑜教授の開いた雲南大学歴史系中国民族史研究室において林超民教授のもとに研究をおこない、外国人でははじめて中国民族専攻の博士号を取得した。大学院生の指導にあたっては、東洋史学の伝統的な史料批判の方法を重視しながらも、支配者(支配民族)の論理に偏ることのない、複眼的な視点で研究を進めていく能力の涵養を心がけている。