人文学研究科 歴史学・人類学コース

日本史学研究室


 

(2006年 院生合宿風景)

 歴史学の研究目的は、単に過去の事実を明らかにするだけでなく、現代社会に生きる研究者の眼から過去の事実の意味を掘り出す事にある。したがっ て、 歴史家として自立するためには大きく二つの条件を満たさねばならない。一つは、事実を限りなく正確に把握する能力である。過去の事実の痕跡である歴史資 料、古文書・記録・絵画史料・考古史料・伝承などを正確に読み解く力が必要とされる。当研究室では、とりわけ古文書や記録などの文献史料の読解能力を重視 している。もう一つの条件は、個々の事実の持っている意味をつかみだす能力である。これは個々の研究者が自らの歴史観を自覚的に磨くことによって得られる ものであり、これなくしては、発掘すべき過去も見えず、また、発掘した事実の持つ歴史的意味も見えてこない。

 以上の歴史家の条件を達成するために、当大学院では院生に対して以下の研究指導をしている。博士前期課程の院生に対しては、演習を通じて史料解読 能力の向上、研究史の学習、参加者相互の討論による議論の方法などを習熟させる。院生は演習や講義などを通じて自己の研究課題を発見し、修士論文を作成す ることになる。教官は修論のテーマについて助言するが、テーマを与えることはしない。あくまで院生が自らの力で発見することが要求される。修論は学会誌に 掲載される水準のものが要求される。修論は研究者として自立できるか否かを見極める関門であり、研究者生活の出発点となるものである。博士後期課程の院生 は基本的には自立した研究者と見なされる。自己の研究課題を追究し、その成果を学会誌に発表することが求められる。広く学外の研究者と交流し、そこで評価 されることが求められる。認定論文は学会に投稿する準備段階で教官による助言を得る機会となる。学会での評価を得た論文を積み重ね、体系化することによっ て博士論文を作成し、博士の学位を取得することが目標となる。



2017年度授業科目


羽賀祥二教授 

 日本近・現代史研究/近代天皇制の形成(秋学期・月曜3限)
 日本の歴史においてもっとも重要なテーマの一つが天皇制である。この 授業では最近の研究成果を踏まえて、近代天皇制の形成のプロセスを考える。 

 日本近・現代史基礎演習a,b/『昭和天皇実録』購読(春秋学期・ 月曜5限)
 近年 大きな注目を浴びた『昭和天皇実録』が公開された。
 現在、この実録に関してさまざまな論究がなされているが、本授業ではいくつかのテーマを設定して、実録 の内容に検討を加える。昨年度からの継続である。

 日本近・現代史発展演習a,b/近現代史の諸問題(春秋学期・月曜4限)
 受講者が修 士論文・博士論文などの作成に向けて、それぞれの課題を明確にし、構想力と実証性に基づいた研究を進めていく。
 また、参加者による積極的な討論を通じて、 論理的に思考し、批判する力をつけることを目的とする。


池内敏教授

 日本近世史研究/近世三河の支配構造(春学期・金曜2限)
 日本近世の政治および文化について、三河地方の譜代大名を素材にして検討する。幕藩制の特質および幕藩制下における人々の暮らしについて理解を深める。

 日本近世史基礎演習a,b/近世史史料研究T(春秋学期・木曜3限)
 江戸時代の地域史料を素材にして史料解読の演習を行う。日本近世史料の文体に慣れ、史料解読の基本を身につける。

 日本近世史発展演習a,b/近世史史料研究U春秋学期・木曜4限
 三河地方の地方史料、領主史料を素材にしながら、史料演習の形式によって日本近世の政治・社会・文化を検討し、幕藩制の特質および幕藩制下における人々 の暮らしについて理解を深める。

 日本史史料学基礎演習a,b/近世史史料研究V(春秋学期・金曜4限)
 近世のくずし字解読の演習を行う。くずし字解読について、半年程度以上の学習を済ませた者を対象に、内容理解も含めて、さらに解読能力の向上を目指す。
 秋学期は、日本史史料学基礎演習aを踏まえて、さらにくずし字解読能力の技量向上をめざす。


古尾谷知浩教授

 日本古代史研究/古代国家と手工業(春学期・木曜5限)
 古代国家が手工業生産をどのように掌握しようとしたのかという問題を理解し、もって日本史学の専門的知識を修得することを目的とする。平安時代における 瓦製作・梵鐘製作・神宝製作などをテーマとする。

 日本古代史基礎演習a,b/古代史史料研究T(春秋学期・月曜2限)
 古代の文書(主に造石山寺所関係文書を扱う)を題材として、文書を読解する能力を身につける ことを目的とする。

 日本古代史発展演習a/古代史史料研究U(春学期・月曜4 限)
  『令集解』を中心とする古代法制史料を読解することにより、律令国家の構造について理解することを目的とする。

 日本古代史発展演習b/古代史史料研究V(秋学期・月曜4 限)
 『権記』を読解することにより、平安時代の政治・社会を理解することを目的とする。

 文化資源学研究T/古代の遺跡と文献史料(春学期・月曜5限) ※考古学専門梶原義実准教授と共同
 古代の遺跡について、考古学上の知見および、関連する文献史料を読み解 き、その上で現地を踏査することにより、古代の政治・社会・経済について理解することを目的とする。

 文化資源学研究W/博物館展示論(春学期・集中)
 展示の歴史、展示メディア、展示による教育活動、展示の諸形態等に関する理論及び方法に関する知識・技術を習得し、博物館の展示機能に関する基礎的能力 を養う。


斎藤夏来教授

 日本中世史研究/五山僧と室町幕府(春学期・火曜3限)
 担当教員の研究課題である鎌倉〜戦国期の五山を素材として、歴史学・日本史学に携わる基本的な姿勢を身につける。
 具体的には、不断に史料的根拠を問い直す姿勢、その根拠に基づき示された解釈を相互批判しながら鍛え上げる姿勢を身につける。

 日本中世史基礎演習a,b(春秋学期・火曜4限)
 中世史料の読解と調査に関する基礎的な技能を身につける。。
 前期は日本中世史に関する代表的な古記録のひとつである臥雲日件録抜尤、後期は愛知県史資料編中世に掲載されている古文書類をテキストとする。
 毎回担当者の報告をもとに、受講者全員で質疑応答を行う。報告と質疑応答の主な内容は、史料の正確な読解、関連史料の調査、先行研究の解釈に関する検討 などとする。

 日本中世史発展演習a,b/禅林語録を読む(春秋学期・火曜5限)
 未開拓の部分が大きい禅林文学が中世史料としてどのような可能性を持っているのかを検討する。
 戦国期の五山僧である仁如集堯の未刊の語録である『鏤氷集』を読解する。
 一定のまとまりごとに報告担当者を決め、担当者は翻刻、読み下し、語義確認および関連史料・文献に基づく解釈を示し、受講者全員で討論を行う。
 報告者が作成したデータは蓄積し受講者全員で共有する。

 

羽賀祥二教授・古尾谷知浩教授

 文化資源学研究UV/日本史野外演習(1)(2)(春秋学期・月曜1限)
 陵墓等に関する文献史料を読解し、現地を踏査することを踏まえ、過去の天皇がどのよ うに人々によって扱われたのかを理解する。今年度は鹿児島県・宮崎県の陵墓等をとりあげる。


羽賀・池内・古尾谷・斎藤(合同)

 博士論文研究a,b(春秋学期・水曜6限)
 博士論文作成の助言を行う。教員全員が出席しての共通演習と、主指導教員による個別演習とを組み合わせて指導する。
 共通演習には受講生全員が参加を必須とするとともに、博士課程前期課程および後期課程在籍のすべての在籍生の出席を認め、
 演習時点における博士論文の構成および個別実証にかかわる口頭発表と質疑応答を行う。
 共通演習の前後に主指導教員による個別指導を受け、博士論文執筆へ向けて計画的な準備に努めるよう指導する。



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