人文学科日本史学研究室

実証に基づき、新たな歴史像の構築を目指す。


 

 研究室は学生・大学院生で常ににぎやかです。演習で報告する古文書を唸りながら調べている者、おしゃべりをしている者、学問的な質問を院生や教官 にぶつける者と様々です。しかし、演習を控えた学生が研究室を占拠するとき、あたかも戦場のようであり、緊張感がみなぎります。

 さて、ここで日本史学とはどんな学問か少し説明しておきましょう。日本史学とは、日 本の歴史における個別のテーマを、主に紙や木片などに書かれた文章、即ち文献史料に基づいて掘り下げていく 学問です。古代・中世・近世・近代と時代によって扱う史料や対象とするテーマは異なってきます。日本史学の授業は時代ごとに講義と演習の2 種類があります。講義には教官が研究されているテーマを主に授業内容とするものと、史料の基礎を学ぶ史料学があります。演習は学生が順番で担当の古文書を 調べ報告するもので、報告に対して教官と学生が討論をして文書の理解を深めるのです。演習は日本史を学んで いることを実感できるものであるとつくづく思います。そして、2・3年生の間の間の講義・演習などで養った自らの興味関心をもとに、4年生 の卒業論文へとつなげていくのです。

 なお卒業後の進路は大学院への進学、地方公務員、一般企業など様々な進路を取っていますが、この研究室で学んだことを励みとして社会の第一線で活 躍しています。


2017年度授業科目

羽賀祥二教授 

 近代天皇制の形成(秋学期・月曜3限)
 日本の歴史においてもっとも重要なテーマの一つが天皇制である。この授業では最近の研究成果を踏まえて、近代天皇制の形成のプロセスを考えたい。

 日本近代史料学(春学期・月曜3限)
 
私たちの周辺には日頃はあまり深く意識することはないが、石仏石塔や記念碑など多くの石造物資料が現存している。
 こうした石造物資料は歴史学研究において、欠くことができない重要な資料である。特に18世紀後半より全国的に記念碑が建立され始めた。
 旧来仏教信仰やの民俗信仰に根ざした石仏石塔類に加えて、新たな石造物文化が出現していった。
 こうした石造物文化の様相と内容を考えることが、本授業の目的である。

 近代史史料演習T,U(春秋学期・火曜3限)
 
歴史のなかで神話化された人物や出来事は少なくない。そうした創られた神話を解体し、史料を丹念に繙いて、歴史事象を再構成していくことが研究 の出発点でもある。
 この授業では、近代日本における国民国家の形成の過程で、もっとも神話化された人物である坂本龍馬を取り上げて、その実像の再構成に取り組みたい。


池内敏教授

 日本史基礎演習U(秋学期・金曜3限) ※2年専攻生必修
 近世のくずし字解読の演習を行う。
 近世の古文書は、ほかの時代の古文書に比べて読みやすいものが多いので、まずは近世文書の書体に慣れることによって、将来的には中世文書、近現代文書も きちんと読めるようになることを目指す。

 近世三河の支配構造(春学期・金曜2限) 
 日本近世の政治および文化について、三河地方の譜代大名を素材にして検討する。幕藩制の特質および幕藩制下における人々の暮らしについて理解を深める。

 日本近世史料学(秋学期・金曜2限)
 近世史料の形態と内容について、現在おそらく最も目にすることの多い村方文書をベースに概観する。
 そのうえで、町方文書や武家文書・朝廷文書などをも検討対象とし、それら史料の形態および形態と内容の相互関連を学ぶとともに、
 それら史料群を解析することを通じて近世の政治・社会・文化の理解へと進むことをめざす。

 近世史史料演習(通年・木曜3限)
 江戸時代の地域史料を素材にして史料解読の演習を行う。日本近世史料の文体に慣れ、史料解読の基本を身につける。
 江戸時代の文章を現代日本語に翻訳する作業をする過程で、関連事項・類似事項を調査して内容理解を深めていくためには、どのような調べ方が求められるか について学習する。
 あるいは、辞書・辞典類で調べがつかないときに、どのような方法によって解釈をすすめていくかについて学ぶ。

 近世史史料演習U(春学期・金曜4限)
 近世のくずし字解読の演習を行う。くずし字解読について、半年程度以上の学習を済ませた者を対象に、内容理解も含めて、さらに解読能力の向上を目指す。
 テキスト(近世史料の複写版)を用いて、くずし字解読能力の錬成を行う。


古尾谷知浩教授

 日本史基礎演習T(春学期・木曜4限) ※2年専攻生必修
 古代の歴史書を題材として、史料を読解する能力を身につけることを目的とする。『続日本紀』をテーマとする。

 古代国家と手工業(春学期・木曜5限)

 古代国家が手工業生産をどのように掌握しようとしたのかという問題を理解し、もって日本史学の専門的知識を修得することを目的とする。平安時代における 瓦製作・梵鐘製作・神宝製作などをテーマとする。

 日本古代史料学(秋学期・木曜4限)
 日本史を研究するために必要な歴史資料について概説することにより、史料から情報を引き出すための手続き、史料批判の方法を身につけ、
 もって、日本史学一般の基礎的方法論を習得することを目的とする。「日本古代史料学」をテーマとする。

 古代史史料演習(通年・月曜2限)
 古代の文書(主に造石山寺所関係文書を扱う)を題材として、文書を読解する能力を身につける ことを目的とする。

 古代の遺跡と文献史料(春学期・月曜5限) ※ 考古学専門梶原義実准教授と共同
 古代の遺跡について、考古学上の知見および、関連する文献史料を読み解 き、その上で現地を踏査することにより、古代の政治・社会・経済について理解することを目的とする。

 博物館展示論(春学期・集中)
 展示の歴史、展示メディア、展示による教育活動、展示の諸形態等に関する理論及び方法に関する知識・技術を習得し、博物館の展示機能に関する基礎的能力 を養う。

 日本史博物館実習2(館園実習)(通年・集中)
 資料の取り扱い方、展示方法等について、現場を体験し、実践的能力を養う。館園実習にあたる。



斎藤夏来教授

  日本中世史料学(秋学期・火曜3限)
 中世文書の伝来や様式など、基礎的な史料批判の手続きをふまえて、中世史料を読解できるようにする。
 中世の古文書、古記録を中心に、金石文、聖教など近年研究が進展している素材も概観し、それらの知識をふまえて、具体的な中世史料(授業計画に掲げてい るものは例示)をいくつか読解する。

 日本史論文演習(春学期・月曜4限) ※2年専攻生必修
 日本史の学術論文の読解能力を養う。とくに、論理的展開とともに、史料的根拠に注意する態度を養う。
 教員の提示した学術論文について、毎回報告者をたて、その報告者の報告をもとに、受講者全員で質疑応答をおこなう。
 慣れてきたら、受講者の方で読みたいと希望する論文を取り上げてもよい。報告と質疑応答の主な内容は、論旨の展開、先行研究ほか関連文献の紹介と検討、 根拠史料の確認などとする。

 五山僧と室町幕府(春学期・火曜3限)
 担当教員の研究課題である鎌倉〜戦国期の五山を素材として、歴史学・日本史学に携わる基本的な姿勢を身につける。
 具体的には、不断に史料的根拠を問い直す姿勢、その根拠に基づき示された解釈を相互批判しながら鍛え上げる姿勢を身につける。

 中世史史料演習(通年・火曜4限)
 中世史料の読解と調査に関する基礎的な技能を身につける。。
 前期は日本中世史に関する代表的な古記録のひとつである臥雲日件録抜尤、後期は愛知県史資料編中世に掲載されている古文書類をテキストとする。
 毎回担当者の報告をもとに、受講者全員で質疑応答を行う。報告と質疑応答の主な内容は、史料の正確な読解、関連史料の調査、先行研究の解釈に関する検討 などとする。


羽賀祥二教授・古尾谷知浩教授(合同)

 日本史野外演習(通年・月曜1限)
 陵墓等に関する文献史料を読解し、現地を踏査することを踏まえ、過去の天皇がどのよ うに人々によって扱われたのかを理解する。今年度は鹿児島県・宮崎県の陵墓等をとりあげる。


羽賀教授・池内教授・古尾谷教授・斎藤教授(合同)

 卒業論文演習(通年・水曜5限) ※4年専攻生のみ
 卒業論文作成の助言を行う。教員全員が出席する授業と、個別に指導教員が行う演習とで構成される。
 前者は5月の構想発表会と10月の中間報告会の二度の発表会があり、演習受講生全員が参加し、各人が卒論の構想や経過を発表する。
 この発表会は公開 で行われ、日本史学研究室の院生・学生も参加できる。
 教員だけではなく多種多様な意見を得て卒論執筆の参考とすること、発表会を執筆計画の区切りに位置づけることが目的 である。
 後者は古代から近現代まで、卒論テーマに合わせて指導教員を選択し、指導教員ごとに指導を得る演習である。演習の方法は各教員で異なるが、演習参加 者と相談の上実施される。

 日本史博物館実習1(見学実習)(通年・集中)
 歴史系博物館を見学し、博物館における資料収蔵・展示業務等の実際を理解する。見学実習にあたる。



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